私が経験したクリニックでの労働基準法違反疑い
私は以前14年ほどクリニックに勤めていましたが、働きはじめた20代前半の時には労働基準法などの知識は当然なく、医療知識や治療技術(そして遊び)のことしか考えていませんでした。
今ではそのクリニックも閉院し時効ですので、その時経験した労働基準法などの違反疑いを思い返してみようかと思います。
休憩時間中のオンコール待機や来客対応
休憩時間中は業務から解放されていなければなりません。
使用者の指示があれば直ちに労務を行わなければならない時間は手待時間といわれ、労働時間としてみなされます。
クリニックなどでは昼休時間などに待合室などを開放していて来院患者対応をしたり、昼休憩時の電話対応の為に受付電話近くで休憩したりすることなどは、労働時間とみなされる可能性が高いと思われます。
労働条件通知書もしくは雇用契約書の配布無し
これは実際に私の身に起きたことなのですが、私が新卒で入職した際に労働条件通知書等の交付がありませんでした。
私は初任給が振り込まれて給与明細を見るまで、自分の給与を知りませんでした。(笑)
ただ、採用時に給与の提示はありましたので、大体の総額は知っていました。
労働基準法第15条で「使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない」とされています。
明示する項目については2つあり、絶対的明示事項と相対的明示事項があります。
絶対的明示事項とは
・労働契約の期間に関すること
・就業の場所および従事する業務に関する事項
・始業・終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間等の事項
・賃金(退職手当を除く)、計算及び支払い方法、昇給に関する事項
・退職に関する事項
で必ず明示しなければならず
相対的明示事項には
・退職手当の事項
・賞与に関する事項
・安全及び衛生に関する事項
・表彰および制裁事項など
定めた部分に対しては明示する必要があります。
ただ、元勤務先は私以外には通知書を渡していた様子なので、たまたま私だけ渡し忘れていたのかもしれません。
36協定の届出無し
元勤務先は法定労働時間(1日8時間、1週間40時間)を超える労働をする場合、通称36協定(サブロク)を労働基準監督署に提出しなければなりません。
そして、36協定を出す際に労働者代表と書面で協定しなければならないのですが、そもそも労働者代表がいません(知りません)でした。
労働者代表を決めるには民主的な方法が必要なのですが、その元勤務先で一番職歴が長い私が知らないのは、たぶん決められていなかったのではないかと思います。
この代表者が決まらないと、その他の労使協定も結べませんし、1年変形労働時間制も採用できないはずなのですが、不思議なことに元勤務先では1年変形労働時間制を採用していました。(さらに不思議なことに、ある時急に採用されました。笑)
就業規則が見当たらない
これはもしかしたらあるあるなのかもしれませんが、就業規則が見れません。どこにあるのかわかりません。
就業規則が効力を発揮するには、労働者に周知することが必要になります。
常時10人の労働者を使用する使用者は、所定の事項について就業規則を作成し行政官庁へ届けなければならないとして義務とされています。
前職の事業所は当然10名以上いたので、就業規則があるはずなのですが、どこにも見当たらなく他の人も見たことがない様子でした。
この就業規則がどこにあるのかわからないことは、他の職場の医療従事者の方に聞いてもかなりの割合で見たことがないとお聞きするので、就業規則の周知がされているところは多いかもしれません。
終わりに
上記に挙げたものより、まだまだ労働基準法違反疑いがありますが長くなりすぎるのでこのあたりで切り上げたいと思います。
これらの状況は10年以上前から割と最近までのものが混在していますが、いまだにこのような状態のところも少なくないのではと感じます。
10年前ならいざ知らす、コンプライアンスの重要性が増してきている昨今では、SNSなどへの拡散などのリスクなどもあり企業イメージに大きなダメージを残す可能性があります。
少しづつでも、企業体質の健全化を目指していきましょう。